対人労働となる介護の仕事での喜びや達成感によりやりがいを感じることは、他職種と比べても相対的に大きいものです。しかし、逆にその労働行為が本来もっている共同性という介護の特性から反すれば反するほどやりがいを感じられなくなります。また、利用者との対面時間が量、質ともに細分化され同時に人格と共感、応答というものが希薄になるほど仕事への意欲も失ってしまい、それはほかの職種と比べても相対的に大きくなります。
介護の世界は保険制度に規定されますます細分化や限定化や画一化、そして営利化されているのが現状です。その問題を仕事のやりがいという視点でみれば、働きかけることによる未来の成果や喜びを奪われることになります。そのため、達成感というよりも成し遂げられてよかったという安心感のほうが主になるのです。また、自分が担う労働が部分的、過重労働になっていくと自分がやったという実感も希薄になりますし、駆け足でやらないと仕事は終わらずとにかく自分のところだけやりきればいいというような実践となるのです。
そうなると、何のためにこの仕事をしているのか、自分には何ができるのかということさえも見えなくなってしまいます。また、この業界の人不足は慢性化しており労働条件の悪さに働きがいを感じていた人でさえも辞めてしまうという現状があります。この問題は給与面も含めて基本的な労働条件と切り離して考えることはできません。給与や手当、福利厚生の充実や職場や現場での人間関係改善、職場カーストをなくせるよう働きかけあうことなど様々な方向から様々なアプローチをし、労働環境改善とよりよい職場を日々作り上げることが大事です。