本来年老いた親の世話をするのは家族の役目でした。しかし、現代の家族構成や社会状況からすべてを家族で行うのは無理な話です。そこで、その手助けをするのが介護を職業としている人たちです。
先の見えないこの仕事を長く続けるためにやりがいを求めるのは、その家族も、職業としている人も同じことでしょう。どんな仕事でもやりがいがなければ継続していくことはできません。一般的に考えられるのは、昇給、キャリアアップ、目標達成などですが介護においてはなにが考えられるでしょうか。
毎日同じような労働の繰り返し、あっという間に一日が終わるという日々の中でどうやってやりがいを見出していけばよいのでしょうか。「ありがとう」と感謝の言葉を聞くことができれば満足なのでしょうか。一日の終わりに「ありがとう」と伝えてもらえることができたら、それは心が満たされて幸せな気分になれるかもしれません。しかし明日また同じことを言ってもらえるとは限らないのです。期待してはいけないのです。「ありがとう」と言われることに重点を置いてしまうと、言ってもらえなかった時の落胆は計り知れません。つまり感謝されたいと思って仕事をしていてはだめなのです。
体力的にも排泄、入浴など重労働が多く大変な仕事です。しかし、その仕事の大変さ以上に、関わる人から多くのことを学ぶことができる仕事なのです。それに気付くか気付かないかは心がけ次第でしょう。そして、介護を必要としている人の多くは人生の大先輩であるということも忘れてはなりません。